九州大学大学院システム生命科学府

九州大学大学院システム生命科学府

LEARNING PROGRAM

講座やカリキュラムの説明

講座

九州大学大学院システム生命科学府は情報科学・工学・医学と生物学を融合した、これからの総合生命科学を担う教育を行う学府です。医学を含む生物学と情報科学、あるいは生物学と工学という複数の素養を持つ学際的な人材が研究機関や産業界で求められており、このような人材を養成する大学院組織として生命情報科学・生命工学・生命医科学・生物科学講座の4大講座から組織されています。各講座に分かれてはいますが、戦略的学際的教育を施すために所属・出身分野とは異なる分野の基礎知識を習得させ、その後専門的知識の徹底を図ります。異分野間の共通認識、あるいは学際分野での問題点を認識できる人材育成教育を試みます


生命情報科学講座では生命機能の解明やその医療への応用を目的とし、ゲノム解析から生命の基本原理までを情報科学の理論体系で解析するのに必要な教育研究を行います。ゲノム解析の基礎となる微細計測技術の基礎理論、ナノバイオロジーに応じたデータ収集、大量に蓄積されつつあるデータに基づく推論法、計算機の高度利用による効率的な情報抽出および情報処理等に必要な情報解析の教育を行います。


生命工学講座では科学の発展を応用して人々の生活の向上を図る役割を担うため、テーラーメイド医療や再生医療など、生物に関わる基礎科学及び応用面で活躍する人材を養成します。各種生体高分子の機能解析と有効利用、再生医療の重要な分野として各種の再生臓器の開発、再生医療用の高機能材としての生体高分子の開発、さらにはナノ・マイクロ診断などの先端生体計測手法の開発や解析のための教育研究を行います。


生命医科学講座では膨大なデータと医学・生物学の蓄積を利用し、生命医科学分野に残された様々な課題の解決を行う研究者や高度技術者の育成を目指します。生命科学領域と情報科学・工学・農学等との有機的な連携によるシステム科学的なアプローチを導入し、発生学・遺伝学・細胞生物学・分子生物学・構造生物学・分析科学・情報科学・分子医学等を併せた総合的な教育研究を行います。


生物科学講座では生物の基本的な生命現象を解明するために、分子・細胞・個体・集団の各レベルを統合した教育と研究指導を行います。ゲノム遺伝子やタンパク質等の分子レベルの現象、細胞内の状態や細胞間の相互作用、発生・分化・代謝・神経システムの働き、環境情報の受容と応答、行動・学習・外部環境への適応、個体の繁殖・社会生態や群集構造、遺伝子レベルでの進化やゲノム多様性の解析、さらには生命現象の数理的解析等、総合的な教育研究を行います。

システム生命科学府に所属している研究者の情報はこちらをご参照ください

カリキュラム

本学府は前期と後期を区分しない5年一貫制の博士課程がおかれます。この課程に5年以上在学し、所定の単位を修得し、かつ必要な研究指導をうけ、博士論文を提出して最終試験に合格すると博士の学位が授与されます。また、修士課程の修了に相当する要件を満たした方には、求めに応じて修士の学位が授与されます。本学府では戦略的学際的教育を施すため、所属とは異なる分野の基礎知識を習得させた後に、専門的知識の徹底を図ります。特に学際領域の開拓を目指した学際開拓創造セミナーを設け、異分野間の共通認識や学際分野での問題点を認識できる教育を試みます。以下に概要を説明します。


まず本学府では、生命を対象にする研究者や技術者のあるべき姿勢を確立するために「生命倫理学」を必修科目としています。所属する講座に関わりなく、全ての学生が履修します。その他の履修科目については、生命科学に関する基礎を学ぶ学際的入門講義である「基礎科目」と、より深い理解や展望を学ぶ「専門科目」から履修します。


基礎科目に関しては自身の所属講座により、選択する科目の種類が異なります。生命医科学講座と生物科学講座に所属する大学院生は、生命工学系あるいは生命情報科学系の基礎科目を履修します。生命情報科学講座と生命工学講座に所属する学生は、基礎生命系の基礎科目を履修します。この「たすき掛け教育」により、基礎生命科学を学ぶ大学院生には社会との接点を意識し、また新しい方法論やテクノロジーを持ち込んで研究を展開することのできる能力を身に付けることを期待しています。生命工学や生命情報科学を学ぶ大学院生には基礎生命科学や基盤である生物学の正確な理解を獲得し、視野の広い発想力をもって、生命あるいは生命情報を利用する能力を身に付けることを期待しています。これらは本専攻が目標として掲げる生命科学の包括的な理解と、それに基づく高度技術者の育成を実現するための教育課程編成上のポイントと言えます。


この基盤の上に専門科目を履修します。各講座において、より実践性を重んじた最先端の研究に関する授業科目が準備されています。大学院生は自らの能力設計に応じて授業科目を選択することで、実践性や専門性を深く極めることができます。「特別演習」では専門分野ごとに開講され、最新論文を読み・自らの研究成果をまとめて発表し・議論を行います。研究者・高度職業人に必要とされる論理的思考やプレゼンテーション能力・文章力を培います。「学際開拓創成セミナー」では異なる講座の教員・学生が一堂に会します。学生が自らの研究に関するプレゼンテーションを行い、その内容について議論します。学際的研究に対する理解を深め、学際領域を開拓する能力を養います。「特別研究」では、大学院生は複数の指導教員を選定し、その指導の下に学際的なテーマについて調査・解析・実験を行うことで、実践力を身に付けます。


本学府で授与する学位はシステム生命科学を基本とします。所定の要件を満たした者は、システム生命科学以外に理学、工学、情報科学の学位を選択することができます。カリキュラムマップはこちらからどうぞ。