九州大学 大学院 システム生命科学府

分子生命科学

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分子生命科学

 高等生物生命現象の基本的構造単位である真核細胞は、非常に緻密に分化した膜構造に基づく生命活動を行っています。分子生命科学講座では、動物及び植物細胞から見た基本的生命現象、遺伝子の維持を担う染色体複製制御機構、および、遺伝子発現から機能を担う実体すなわちタンパク質の生合成と構造・機能制御とオルガネラという巨大かつ複雑な構造体の動的存在状態とその制御機構に基づく細胞の機能発現と制御、細胞間の相互作用の結果もたらされる細胞の分化・形成や細胞増殖、および代謝の制御、さらに、高次生命現象としての発生及び分化、神経や免疫システムの働き、ならびに、遺伝子レベルから個体の高次機能までについて、縦断的に教育研究を行います。また、他講座の受講者に対して、次のように基礎的な生物科学の講義を開講し、すなわち、生物個体を構成する個々の細胞の基本構造と機能制御の仕組み、細胞増殖・分化の機構、受精に始まる発生の諸過程、さらに、これらの統合されたものとして細胞社会を構築する時に観察される動植物の高次機能制御機構を遺伝子のレベルと生体を構成する分子のレベルでの理解に努めます。一方、高度に発達した細胞社会の代表のひとつは神経システムですが、これらの神経系が個々の神経細胞の特性からどのように説明されるのか、個々の神経細胞の統合による高次機能はどのように理解されるのかについて、分子・細胞・個体レベルからの教育を実践します。

 

講座一覧

■分子発生細胞生物学

講師 中條 信成(なかじょう のぶしげ)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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動物の初期発生過程では細胞周期は目まぐるしく変化すると共に、その過程の進行を厳密に制御している。本研究グループではツメガエル卵を用いて、卵成熟(減数分裂)、受精・卵割、および初期形態形成期における様々な細胞周期制御因子の発現・構造・機能について分子細胞生物学的研究を行なっている。また、同様な系および in vitro の系を用いて細胞周期のチェックポイント制御の研究も行なっている。これらの研究を通して、発生・分化・増殖の分子的基盤と細胞周期制御の一般的機構の解明を目指している。

■植物分子生理学

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教授 射場 厚(いば こう)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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URL:http://plant.biology.kyushu-u.ac.jp/
植物生理学研究室では、植物の細胞オルガネラ機能や環境適応機構に関して、遺伝子工学的な手法を積極的に取り入れて研究しています。具体的には、モデル植物であるアラビドプシスやイネなどを実験材料に用い、CO2、温度、湿度、土壌栄養などの環境要因の感知と、成長制御へのフィードバックにかかわる鍵因子の探索を行っています。また、葉緑体を始めとする細胞内オルガネラ機能やその形成機構の解析に取り組んでいます。植物細胞の基幹的機能については未解明の部分が多く残されており、そのような研究の端緒となるような発見をめざしています。

准教授 祢冝 淳太郎(ねぎ じゅんたろう)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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URL: http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~plant/
表皮細胞から分化して作られる気孔細胞には葉緑体が存在します。そのことは葉緑体を保持しない表皮細胞とは異なる最大の特徴です。気孔細胞における葉緑体の機能については諸説がありますが、明確な説明はこれまでになされていません。また気孔葉緑体の形成機構は全く分っていません。そこで、私たちは、気孔細胞における葉緑体がほとんど観察されない変異体をシロイヌナズナから単離し、気孔における葉緑体の意義及び気孔葉緑体の形成メカニズムを明らかにしようとしています。

■分子細胞生物学

教授 田村 茂彦(たむら しげひこ)

基幹研究院(伊都地区
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URL:http://kyushu-u-mol-cell-biol.com/
細胞内小器官(オルガネラ)のひとつであるペルオキシソームは多くの重要な代謝機能を有し、その障害は遺伝性の致死的疾患をもたらします。私達はこのペルオキシソームをモデルオルガネラとして、その形成と制御および障害・発症のメカニズムについて分子レベルで明らかにし、さらには生命活動を担うタンパク質の細胞内選別輸送、オルガネラの形成、生体膜形成機構などいわゆるプロテインキネシスの課題解明を目的して研究を行っています。

■脂質細胞生物学

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教授 池ノ内 順一(いけのうち じゅんいち)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~taisha/ikelab/
我々は、上皮細胞の細胞接着構造および細胞極性形成に関するタンパク質に関して研究を進めてきた。これらタンパク質の研究に加えて、細胞膜のもう一方の主たる構成成分である脂質にも焦点を当てて、上皮細胞の細胞接着や極性形成の分子機構の全体像を明らかにしようとしている。細胞膜脂質は、数千種類にも及ぶ多様な分子種で構成されているにもかかわらず、その細胞内局在や機能について現在なお不明な点が多い。研究ツールの開発も視野に入れて、独創性の高い成果を目指したい。また正常な上皮細胞の研究から得られた知見を元に、上皮細胞の異常によっておこる癌や線維症などの病態の解明を目指している。

■分子遺伝学

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教授 石原 健(いしはら たけし)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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URL:http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~bunsiide/
動物は、外界からの様々な情報を中枢神経系で処理し、環境に適切に応答している。本研究室では、このような情報処理のメカニズムを、単純な神経回路を持つ線虫 C.elegansをモデルとして研究している。とくに、感覚情報の統合や連合学習のメカニズム、記憶の形成と消去の制御機構、体内環境による情報処理の制御機構などに関して、分子遺伝学的な手法のみならず、行動解析、神経細胞のイメージングなどの方法を用いて、分子・神経回路・行動を結びつけた研究を進めている。
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准教授 古賀 誠人(こが まこと)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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リチウムイオンは双極性障害の気分安定化に有効な薬であるが、その作用機序は不明である。線虫 C.elegans の野生型株は20mMリチウムイオンの存在下では野生型株は増殖できない。そこで同条件下でも増殖できる耐性変異株を分離し、原因遺伝子を7つ同定した。また、躁状態に似た表現型を持つ変異体も分離しており、2つはアデニレートシクラーゼの優性変異であることを明らかにしている。
np

准教授 寺本 孝行(てらもと たかゆき)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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動物は環境からの刺激を受容した後、中枢神経系(脳)により情報処理を行うことで適切な行動をする。脳における情報処理を明らかにするために、私たちは、線虫 C.elegans の中枢神経系をモデルとして、全中枢神経の活動の可視化と計測が可能な4Dイメージングを行っている。これにより刺激の受容から行動の制御までの全中枢神経の活動から、脳の情報処理のメカニズムを理解することを目指している。

■分子神経生理学

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教授 伊藤 功(いとう いさお)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://seibutsu.biology.kyushu-u.ac.jp/~neurosci/
左脳は言語や論理、右脳は音楽や直感などと、人間の場合、左右の脳が機能的に異なる特徴を持っていることはよく知られている。しかし、左右の脳に『なぜ』そのような機能的な差異が存在するのかについては、実はほとんど解っていない。私たちは最近、マウスの脳を用いた実験によって、左右の脳が機能的にも構造的にも異なっていることを、世界で初めて分子レベルで明らかにした。これによって脳の左右差の研究がようやく分子レベルで可能になった。私たちは、分子レベルから行動レベルまで一貫した研究を行える実験系を作り上げることによって、脳の左右差の持つ意味を分子レベルで明らかにしたいと考えている。

■染色体機能学

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教授 釣本 敏樹(つりもと としき)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://seibutsu.biology.kyushu-u.ac.jp/~chromosome/
真核生物では、染色体複製の際にはDNA配列の倍加のみならず、ヒストン修飾や染色体接着などの染色体構造の維持機構が連動する。また、複製フォークがDNA損傷に出会うと、それに適切に対処する機構が誘導される。このような複製と連動した機構は、細胞の恒常性維持、分化誘導の基盤となるだけでなく、その破綻は、発生異常、がん化の原因となる。この点からDNA複製や損傷応答関連因子は、分化制御、がん創薬の分子標的として注目されている。このような視点のもと、本研究室では、生化学的、細胞生物学的、分子遺伝学的手法を駆使して、ヒト細胞の染色体複製、損傷応答機構の全容の解明を目指した研究を進めている。
np

准教授 高橋 達郎(たかはし たつろう)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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染色体はDNAとクロマチンタンパク質からなる巨大複合体であり、その倍加、遺伝情報維持、分配には、さまざまな反応が協調的にはたらく必要がある。ツメガエル卵抽出液はこれらの反応を同時に試験管内再現する唯一の実験系であり、したがってこれは染色体研究のすぐれた試験管内モデルとなる。我々はこの系を用いて、DNA複製の正確性を維持する「ミスマッチ修復機構」がDNA複製やクロマチン形成反応と協調してはたらく機構を研究している。また、染色体の複製と分配をつなぐ「染色体接着機構」がDNA 複製と協調して成立する仕組みの研究も進めている。

■植物多様性ゲノム学

准教授 仁田坂 英二(にたさか えいじ)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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URL:http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~nitasaka/
アサガオを材料として、植物の形づくりの仕組みや、変異の原因となるトランスポゾン(動く遺伝子)の構造や機能の研究を行っています。また、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の中核機関として、アサガオ類の系統保存を行っています。特異な形態や生理を持つ脊椎動物の一群である爬虫類、特にヘビ類の体色変異の原因遺伝子の解析も行っています。

■生体高分子学

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教授 川畑 俊一郎(かわばた しゅんいちろう)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
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URL:http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~biopoly/
無脊椎動物の生体防御反応や自然免疫について、分子レベルと個体レベルで研究しています。感染微生物の表層成分は、自然免疫の情報伝達の開始因子として機能していますが、それらに対する応答と制御の分子機構は不明な点が多く残っています。当研究室では、グラム陰性菌のリポ多糖に鋭敏に反応するカブトガニの体液凝固系の分子機構、さらにはショウジョウバエを用いて、腸管における宿主と常在細菌との共生の分子機構を解析しています。
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准教授 小柴 琢己(こしば たくみ)

大学院理学研究院 生物科学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~koshiba/
細胞内エネルギー工場であるミトコンドリアは、真核細胞には不可欠のオルガネラであり、その形態は細胞質全体に管状の網様構造を形成・分布し、ダイナミックに分裂と融合を繰り返している。近年の研究から、このようなミトコンドリアの形態分布が、我々の健康と非常に強く結びついていることが明らかになってきた。そこで私たちの研究グループは、細胞内におけるミトコンドリアの形態変化が「どのようにコントロールされているのか?」、また「どのような生理的な意味を持ち合せているのか?」について、そのメカニズムを分子レベルで明らかにし、最終的にその生理機能の理解を目指している。具体的には、「抗ウイルス免疫反応におけるミトコンドリアの生理的意義の解析」や「ミトコンドリア形態調節機能の分子基盤解析」等の研究テーマを進めている。
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