九州大学 大学院 システム生命科学府

生命工学

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生命工学

今後は解読されたゲノムに基づくテーラーメイド医療への期待、再生医療の開始など、生物に関わる基礎科学及び応用面の発展の時代となる。このような趨勢のなかで、「工学が、科学の発展を応用して人々の生活の向上を図る役割を持つ」を立脚点として、生命工学講座の教育研究内容を以下のように設定した。生命科学の発展に基づいて産業化が図られうる分野は多数あると思われるが、生命工学講座では、工学および農学のバックグランドを持ちながら、主として次の4つの分野を活躍の場とする人材の養成を目的とする。

a.解読されたゲノムに関する知見を利用して、各種生体高分子の機能解析と有効 利用、製品として、例えば医薬品、通常および機能性食品等の生産に携わるバイオテクノロジストの育成。

b.生体の組織や臓器について生物学的・化学的・物理学的知見を学び、医薬品や従来の手術手法・人工臓器・インプラントでは治療が難しい患者のために、再生医療の重要な分野として各種の再生臓器を開発し、患者の救命やQOLの向上に資するバイオメディカルエンジニアの育成。

c.生体親和性、生分解性、生体吸収性を持つ生体高分子は再生医療においては必須の素材であるとともに、環境負荷を低減化する(環境にやさしい)素材である。そのため生体高分子は将来再生医療用の高機能材としてのみならず、環境と調和する原材料として大きなマーケットを持ちうる。従って、生体高分子および各種のバイオセラミックスや生体用金属材料、複合材料などの開発を担うとともに、分子・ナノレベルの治療を可能とするナノテクノロジーの応用技術に力を発揮するバイオマテリアルエンジニアの育成。

d.バイオイメー ジングやマイクロマシン技術を応用したナノ・マイクロ診断などの先端生体計測手法の開発や解析を行うバイオアナリストの育成を目指す。

 以上の人材養成の目標に対して、次のようなカリキュラムを実施する。急速に変化・発展する生物、細胞、ゲノム等に関する知見に関して、将来ともフォローアップできるように確固たる基礎力を身につけさせる。応用的と位置づけた科目は、前述の修了者の進路に直接的に資する講義である。また、世界中がプロパテントの時代となっており、研究成果の早急な特許化が要求される。特許戦略やバイオベンチャー立ち上げなどに関する講義を行う。

 

 

講座一覧

■生命プロセス工学

kamihira

教授 上平 正道(かみひら まさみち)

大学院工学研究院 化学工学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab3/index.html
生物システムは、個々のプロセスおよびそれらの複合したプロセスを進化させることによって巧妙さを生み出してきました。生物システムや生命現象の巧妙さを解析するとともに、人工的な再構築を試みることを通して新しいバイオテクノロジーの開発を目指して研究を行っています。具体的には、1)ティッシュエンジニアリング技術開発、2)トランスジェニック動物によるバイオ医薬品生産、3)幹細胞の培養と分化誘導、4)遺伝子導入技術の開発、5)組織細胞の機能発現メカニズムの解析などに関する研究と教育を行っています。
mizumoto

准教授 水本 博(みずもと ひろし)

大学院工学研究院 化学工学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab6/sls/
失われた臓器の機能を回復する新しい医療技術として、再生医療やハイブリッド型人工臓器が注目されています。これらの医療を実現化するには、治療に必要な十分量の細胞の確保と、細胞が本来の機能を十分に発揮できる環境作りが必要です。当研究室では、生物化学工学的な観点から、ES細胞やiPS細胞等の幹細胞を大量に培養可能なプロセス構築や、幹細胞から誘導した機能性細胞を用いた生体類似組織の作製、さらには、こうした生体類似組織を用いた再生医療用のデバイス開発・性能評価に取り組んでいます。

■機能組織化学

katayama

教授 片山 佳樹(かたやま よしき)

大学院工学研究院 応用化学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~katayama/
細胞機能への工学的アプローチを通し、新しいバイオテクノロジーの創製を目指している。具体的には、遺伝子やタンパク質の機能解析、創薬や診断(投薬前後診断)のための細胞内シグナル網羅的解析概念の創製と計測用バイオチップの開発や、標的の細胞内シグナルに応答することで、標的疾患細胞選択的な薬物機能・遺伝子発現を可能とする薬物カプセルや遺伝子送達概念の創製、病態機能をイメージングして診断や予後評価、薬効評価に利用できる新規機能化造影剤の開発等を行っている。
kishimura

准教授 岸村 顕広(きしむら あきひろ)

大学院工学研究院 応用化学部門(伊都地区
E-mail:
URL:
いまなお病理が明らかでない難治性疾患が多数存在する。私たちは、これら未解決疾患の構造的・物理化学的特徴を、構造・物性・機能がチューニングされた材料を用いてナノレベルにおいて明らかにするアプローチをMaterial Physiologyと位置づけ、新しい治療法を開発すべく研究を展開している。 特に、“ 分子集合体作製技術”を基盤に、革新的イメージング・治療用ナノデバイスを開発し、生体内の“濃厚な夾雑系”や“流れ場(循環)”などの試験管レベルを超えた複雑かつ苛酷な現実世界を克服することを目指して、日々の研究に取り組んでいる。
np

准教授 森 健(もり たけし)

大学院工学研究院 応用化学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~katayama/
細胞の表面には数多くの種類のタンパク質が存在し、これによって外界からの刺激に対して適切に応答しています。これらのタンパク質を発現させることで、細胞の機能を任意に制御することが可能です。これを細胞表面工学と呼び、近年、注目を集めています。私たちは、遺伝子工学の手法によらず、化学的に細胞表面に修飾を施す、「化学的トランスフォーメーション(CT)」とも呼ぶべき手法の確立と応用展開を行っています。CT法は遺伝子工学的手法に比べて、修飾できる分子がタンパク質に限定されず、多様な分子に適用できること、短時間で修飾できること、遺伝子変異の恐れがないことなどの利点があります。私たちは、細胞膜に修飾する基盤分子として、修飾持続時間で優れる高分子、および品質管理の容易なペプチドについて、開発を行ってきました。これらの基盤分子を介して、レセプター分子やリガンド分子を細胞に修飾することで、細胞に対してホーミング能を付与したり、標的選択的なエンドサイトーシスおよびファゴサイトーシス能を付与しています。これにより、細胞を使った治療への応用を行っています。

■生命物理工学

np

教授 原 一広(はら かずひろ)

大学院工学研究院 エネルギー量子工学部門(伊都地区
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生体を構成する物質の中には、小さな環境変化に対して大きく構造や性質を変化させるものがあり、生体の独特の特性の起源となっていると考えられます。私達は、この興味深い特性が生じるメカニズムの解明する為にハイドロゲルやハイドロコロイド等をモデル物質としてシンクロトロン光や中性子などを用いたナノ構造の解明などの手法により研究を行なっています。また、単に機構解明に留まらず、その特性を活用し、現在社会的関心事となっている環境問題や資源の枯渇問題の解決に資する機能性材料の開発も行なっています。
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准教授 岡部 弘高(おかべ ひろたか)

大学院工学研究院 エネルギー量子工学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.okabe.ap.kyushu-u.ac.jp/index-j.html
生体は複雑な系ですが、粗視化して単純化することで理解できる場合があります。このような物理的視点から研究を行います。現在の研究内容は、活性酸素由来のバイオフォトンと呼ばれる極微弱光を測って生理状態を診断する手法や、人工筋肉の候補であるソフトマターアクチュエータの開発です。

■生命機能工学

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教授 工藤 奨(くどう すすむ)

大学院工学研究院 機械工学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://www.bfe.mech.kyushu-u.ac.jp/
 生体内の様々な現象に関して、バイオメカニクスおよびバイオトランスポートの視点から研究に取り組んでいます。細胞・組織の機能が力学環境の変化にどのように適応していくのかをバイオメカニクスの視点から解明することを目指し、再生医療などの応用を目指しています。また、生体内の物質輸送・移動現象(バイオトランスポート)を統合的に理解するために、タンパク質レベル、細胞・組織レベル、個体レベルの各階層での物質輸送・移動現象の研究をおこなっています。

■ナノ・マイクロ医工学

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教授 澤田 廉士(さわだ れんし)

大学院工学研究院 機械工学部門(伊都地区
E-mail:
URL:http://nano-micro.mech.kyushu-u.ac.jp/
これまでのように、個別光学部品の組み立て調整で構成するのではなく、フォトリオグラフィ技術(マイクロマシニング技術)を用いて作製した携帯可能無線信号伝送超小型センサの研究開発とその応用展開を行っています。 1)マイクロミラーを応用して生体断層撮影を可能にする微小な走査型顕微鏡、2)マイクロミラー、モータ、ロボットの指やマニピュレータなどに内蔵可能な高精度微小変位センサ、スリップセンサ、せん断力センサなど、3)血流量センサ、血糖値センサ、アルコールセンサなど生体状態をセンシングする非侵襲式、携帯可能なマイクロデバイス、4)牛のストレスセンサや鳥インフルエンザ低消費電力無線信号伝送センシングデバイス、などどれも従来装置と比べて1桁から2桁小型で世界一を実現しています。また、これらの医工学分野への応用も行っています。

■細胞制御工学

katakura

准教授 片倉 喜範(かたくら よしのり)

大学院農学研究院 生命機能科学部門伊都地区
E-mail:
URL:http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/crt/katakura/Site2/TOP.html
最近の研究から、老化・寿命を制御する分子基盤が徐々に明らかとなり、アンチエイジングを実現する分子メカニズムについての報告が相次いでいる。当研究室においてはこれまで、ヒト培養細胞を用い細胞老化誘導因子およびシグナル経路に関する解析を進め、細胞老化研究という観点から老化を制御・誘導するシグナル・因子群の分子基盤を明らかにしてきた。現在は、ここで得られた細胞老化の分子基盤情報及び長寿遺伝子をターゲットとして、アンチエイジング食品の探索・同定とその機能性の分子基盤に迫る研究を行っている。現在は以下に示す研究を行っている。
• 長寿遺伝子サーチュインをターゲットとしたアンチエイジング
• 食品の探索とその機能性の分子基盤解明
• 鶏肉由来ジペプチド(カルノシン)の抗認知症効果の分子基盤解明
• 食肉由来因子のアンチエイジング効果とその分子基盤に関する研究
• ザクロポリフェノールのアンチエイジング効果に関する研究
• 乳酸菌のアンチエイジング効果に関する研究
• 細胞老化因子による加齢性疾患制御に関する研究

■構造生物学

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教授 角田 佳充(かくた よしみつ)

大学院農学研究院 生命機能科学部門伊都地区
E-mail:
URL:http://www.brs.kyushu-u.ac.jp/~biophys/
X線結晶構造解析を主な解析手段として、蛋白質の立体構造解析と機能に関する研究を行っている。特に、硫酸転移酵素、糖転移酵素、糖分解酵素をターゲットとして、それらの酵素反応メカニズムと基質認識機構の解明を行っている。これらの酵素によってタンパク質、糖質、ホルモン、薬物等の化学構造が変化することで、代謝、分化、シグナル伝達変換が行われる仕組みを明らかにすることを目指している。
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