講座全体概要と組織図

生命情報科学

 ゲノムプロジェクトは生命科学と情報科学の境界領域であるゲノムインフォマティクスを生み出した。ゲノムプロジェクトの究極目的である,生命機能の解明・その医療応用を目指すゲノムサイエンスを習得させるためには,従来の生命科学関連教育に情報科学関連の基礎教育および先端教育を積極的に組み込むことが必須である。本講座は,ゲノム解析から,生命の基本原理までを情報科学の理論体系で解析するのに必要な教育研究を行う。すなわち,ゲノム解析の基礎となる微細計測技術の基礎理論から応用までのナノバイオロジーに応じたデータ収集をはじめとし、大量に蓄積されつつあるデータに基づく推論法と計算機の高度利用による効率的な情報処理・情報抽出に必要なゲノム情報解析の教育を行う。ゲノム情報解析については,ゲノムや遺伝子データベースだけではなく,これまで細胞生物学・分子生物学・生化学・構造生物学等で培われてきた知識を体系化した知識等を含むデータベース等,体系化された生命情報データベースを基にした,知識発見,学習機能,推論機能,モデル化・シミュレーションのためのアルゴリズム開発手法とそのプログラミング技術,さらにはそれらを統合した高速・高効率・高信頼で実行可能な統合計算機システムの構築およびその運用法の習得等の情報科学的手法までの高度な教育をすることを主目的とする。具体的には,計測理論,数理・統計学,基礎情報学,データベース学,アルゴリズム学,機械学習学およびそれらの生命情報への応用としてのバイオインフォマティクス学等最先端教育を行う。

 >> 生命情報発見学  >> 生命情報数理学  >> 生命情報電子工学
 >> 生命情報解析学  >> 生命情報システム学  >> 生命情報処理学  >> 認知神経科学

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生命工学

今後は解読されたゲノムに基づくテーラーメイド医療への期待,再生医療の開 始など,生物に関わる基礎科学及び応用面の発展の時代となる。このような趨 勢のなかで,「工学が,科学の発展を応用して人々の生活の向上を図る役割を 持つ」を立脚点として,生命工学講座の教育研究内容を以下のように設定し た。生命科学の発展に基づいて産業化が図られうる分野は多数あると思われる が,生命工学講座では,工学および農学のバックグランドを持ちながら,主と して次の3つの分野を活躍の場とする人材の養成を目的とする。
a.解読されたゲノムに関する知見を利用して,各種生体高分子の機能解析と有 効利用,製品として,例えば医薬品,通常および機能性食品等の生産に携わる バイオテクノロジストの育成。b.生体の組織や臓器について生物学的・化学 的・物理学的知見を学び,医薬品や従来の手術手法・人工臓器・インプラント では治療が難しい患者のために,再生医療の重要な分野として各種の再生臓器 を開発し,患者の救命やQOLの向上に資するバイオメディカルエンジニアの育 成。c.生体親和性,生分解性,生体吸収性を持つ生体高分子は再生医療におい ては必須の素材であるとともに,環境負荷を低減化する(環境にやさしい)素 材である。そのため生体高分子は将来再生医療用の高機能材としてのみなら ず,環境と調和する原材料として大きなマーケットを持ちうる。従って,生体 高分子および各種のバイオセラミックスや生体用金属材料,複合材料などの開 発を担うとともに,分子・ナノレベルの治療を可能とするナノテクノロジーの 応用技術に力を発揮するバイオマテリアルエンジニアの育成。d.バイオイメー ジングやマイクロマシン技術を応用したナノ・マイクロ診断などの先端生体計 測手法の開発や解析を行うバイオアナリストの育成を目指す。以上の人材養成 の目標に対して,次のようなカリキュラムを実施する。急速に変化・発展する 生物,細胞,ゲノム等に関する知見に関して,将来ともフォローアップできる ように確固たる基礎力を身につけさせる。応用的と位置づけた科目は,前述の 修了者の進路に直接的に資する講義である。また,世界中がプロパテントの時 代となっており,研究成果の早急な特許化が要求される。特許戦略やバイオベ ンチャー立ち上げなどに関する講義を行う。

 >> 生命プロセス工学  >> 機能組織化学  >> 生命物理工学  >> 生命機能工学
 >> ナノ・マイクロ医工学  >> 細胞制御工学  >> 構造生物学

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生命医科学

 ポストゲノム時代のヒトの生物学は膨大なデータと医科学的知識を有効に利用しながら,疾患感受性や正常形質などのヒトの個体差をはじめとした「ヒトにとって重要な問題」に応えてゆかねばならない。本講座ではこのようなヒトの生物学上の問題について,膨大なデータと知識を自在に駆使し,適切な実験をデザインでき,それを実行することで,答えの出せる研究者や高度技術者の育成をめざす。これらの研究を推進するには,最近15年間に形成されたゲノム科学を基礎に,生命科学領域のみでなく,情報科学,工学,生物資源学等の有機的な結合によって解決法を見いだすという,システム科学的なアプローチを導入する高い必要性がある。また遺伝因子と環境因子を取り込んだ生体のシステムとしての理解や,コンピュータシミュレーションによる病因・病態論のモデル化,その利用による治療や予防法の開発など,まさにこれからの先端医学領域はシステム生命科学の枠組みとして捉えられるべきであり,この点からシステム生命科学専攻における生命医科学講座の存在意義がある。また以上のようなポストゲノム時代の医学教育研究を進めるに当たり,医学研究・医療と社会・個人との接点に関する生命倫理に基づく深い理解や考察が必要になる。
 このような認識に立ち,本講座では既に確立されたゲノム科学という分野を基盤に,分子医学,分子生物学,構造生物学,情報科学,倫理学等の教育を併せ受けられる総合的な教育研究を行う。具体的には1) ゲノム情報から見たヒトの生物学的多様性の解析,2) ゲノム情報を用いた生体維持機構の解析,3) 構造生物学的手法によるタンパク質の構造・機能解析とその応用,4) ゲノム情報を用い多因子疾患や難治性疾患の病因・病態の解析,創薬を含めた治療,予防法の開発, 5) ゲノムデータの構造化を進め,医学知識の流動性を上げるための工学的なデータや知識の動員利用法の開発,6) 法学研究院の協力による生命倫理学,以上を講義や演習により教育し,研究指導を行う。

 >> 細胞工学  >> 性差生物学  >> ゲノム医科学  >> 構造生命科学  >> 情報生物学
 >> 統合オミクス  >> 細胞記憶制御学  >> メタボロミクス

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分子生命科学

 高等生物生命現象の基本的構造単位である真核細胞は、非常に緻密に分化した膜構造に基づく生命活動を行っている。動物及び植物細胞から見た基本的生命現象,遺伝子の維持を担う染色体複製制御機構,および,遺伝子発現から機能を担う実体すなわちタンパク質の生合成と構造・機能制御とオルガネラという巨大かつ複雑な構造体の動的存在状態とその制御機構に基づく細胞の機能発現と制御,細胞間の相互作用の結果もたらされる細胞の分化・形成や細胞増殖,および代謝の制御,さらに,高次生命現象としての発生及び分化,神経や免疫システムの働き,ならびに,遺伝子レベルから個体の高次機能までを,縦断的に教育研究する。他講座の受講者に対して,次のように基礎的な生物科学の講義を開講する。すなわち,生物個体を構成する個々の細胞の基本構造と機能制御の仕組み, 細胞増殖・分化の機構, 受精に始まる発生の諸過程,さらに,これらの統合されたものとして細胞社会を構築する時に観察される動植物の高次機能制御機構を遺伝子のレベルと生体を構成する分子のレベルで理解させる。一方,高度に発達した細胞社会の代表のひとつは神経システムである。これらの神経系が個々の神経細胞の特性からどのように説明されるのか,個々の神経細胞の統合による高次機能はどのように理解されるのかについて,分子・細胞・個体のレベルから教育する。

 >> 分子発生細胞学  >> 植物分子生理学  >> 分子細胞生物学  >> 脂質細胞生物学  >> 分子遺伝学
 >> 分子神経生理学  >> 染色体機能学  >> 生体高分子学

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生命理学

 近年,生態科学・進化生物学の発展によって,個体間の相互作用や生態系レベルの現象を扱う方法論が整備されてきた。一方で,生理学的研究の発展によって個体レベルの現象を扱う方法論が洗練されるとともに,分子生物学・細胞生物学の発展に伴い,ゲノムプロジェクトを始めとして分子・細胞レベルの成果が蓄積されてきた。生物学のさらなる発展のためには,個体・集団のレベルの方法論を,分子・細胞 レベルの方法論と統合することによって,個体と環境との相互作用や個体間の相互作用などについて解析し,個体・集団レベルの生命現象を支えるメカニズムを明らかにすることも重要である。本講座では,このような認識に基づき,動物の環境からの情報受容と応答,植物の光などの環境情報の受容と応答,個体の繁殖・社会生態等にみられるさまざまな適応戦略,海洋などの群集を対象とした群集構造の成立と存続,集団遺伝学的手法を用いた遺伝子レベルでの進化や多様性維持機構,さらにはこのような複雑な生命現象の数理生物学的解析などについて,分子・細胞・個体・集団の各レベルを統合した教育と研究指導を行う。本講座の教育により,動植物の環境への応答メカニズム,生態学的手法に基づいた生物と環境との相互作用,進化的視点に基づいた生物多様性維持機構,などについて先端的研究を進めるための人材が養成できる。

 >> 動物生理学  >> 生態科学  >> 数理生物学  >> 細胞機能学  >> 進化遺伝学  >> 海洋生物学
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